眠りの主な役割は脳と体の休息と脳内の情報の整理にあると述べました。では、実際に眠っているときに、どのようにしてこの役割を果たしているのでしょうか。
眠りには2つの種類があって、一晩に数回交互に繰り返し現れます。眠っていて体の筋肉がだらりと力が抜けているにもかかわらず眼球だけが速く動くレム(REM/Rapid Eye Movement)睡眠と、REMがないノンレム睡眠です。
脳の中の状態を分けてみると、レム睡眠のときは脳内では主に情報の整理をしており、ノンレム睡眠のときには主に脳を生理的に休めています。
脳の睡眠と覚醒(かくせい)の区別は脊椎(せきつい)動物に見られる現象ですが、レム睡眠とノンレム睡眠という2種類の睡眠に分かれるのは、人間をはじめほ乳類と鳥類だけに見られる眠りの形です。脳を積極的に休ませる作業と起きているときに外界から受けた刺激や情報を整理する作業とは、高度な脳を持った生物にこそ必要な機能だからです。
眠りが浅いか深いかは、ノンレム睡眠の中で状態が分かれます。レム睡眠は眼球が動いているから眠りが浅いということではなく、ノンレム睡眠とは役割が異なっているのです。