肥満にも2種類、要注意は内臓脂肪型

毎日、体重&体脂肪計に乗っては、体脂肪率の増減に一喜一憂しているあなた、ちょっと待ってください。

体脂肪(エネルギーを蓄える白色脂肪細胞)が体内に分布する場所の違いによって、内臓脂肪と皮下脂肪の2つに分けられますが、脂肪の総量が問題なのではないからです。おなかをつまんで持ち上げられるのは皮下脂肪、内臓の周りなど体の“中”に蓄積される内臓脂肪は指で直接つまめません。

肥満にも皮下脂肪が多い皮下脂肪型肥満と、内臓脂肪が多い内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあり、健康上のリスクがより大きいのは内臓脂肪型肥満の方。白色脂肪細胞は、エネルギーを蓄える役割のほかに、さまざまな生理活性物質を分泌する役割を持っていて、それらの物質には健康によい影響を与える善玉物質(糖尿病や動脈硬化を予防するアディポネクチンなど)と、悪い影響を与える悪玉物質(血栓をつくりやすくするパイワン、血圧を上げるアンジオテンシノーゲン、インスリンの働きを妨げるTNF-αなど)があると考えられています。内臓脂肪が多く蓄積されると、善玉物質の分泌が減り、逆に悪玉物質の分泌が増えるのです。

このように内臓脂肪自身が糖尿病、高血圧、高脂血症などと深いかかわりがあることが分かってきました。内臓脂肪型肥満にこうした生活習慣病の要因が重なっている状態こそ、今話題の「メタボリックシンドローム」なのです。

一見、見かけは細くても、筋肉が少なく内臓脂肪の多い人もいます。逆に太く見えても、皮下脂肪、内臓脂肪とも少ない人もいます。相撲取りの多くは太って見えますが、筋肉が多く内臓脂肪が少ない人も少なくありません。体脂肪率や見かけの体のラインにだけ一喜一憂するのではなく、過食(特に夜中)をやめて適切な運動をすることにより内臓脂肪をたまりにくくすることが大切です。