子供が危ない!

サーカディアンリズム(生体リズム)の乱れによる心身への悪影響は、大人にとって大きな問題なのはもちろん、それ以上に子供たちとって大きな危機となっています。脳も体も成長する時期、情緒や体力を培う時期にサーカディアンリズムが乱れることの悪影響は、大人の比ではありません。

特に現代の子供たちにとって大きな問題点は「睡眠時間の不足」と「食事の乱れ」。これらがサーカディアンリズムの乱れと連動しています。
とりわけ睡眠時間の不足は大きな問題。人間の成長をつかさどる成長ホルモンの分泌は主に夜の前半であるため、眠っている間に体をつくっているといっても過言ではないからです。

昼間、五感から受ける情報や刺激の量も子供の方が多く、脳を休め、受け取った情報を整理する役目の「睡眠」の必要性は大人以上。子供は大人に比べて「眠っている間にしなければならないこと」が多いのです。

また、心身に悪影響を及ぼす要因にはさまざまなものがありますが、睡眠時間の不足だけでも免疫の働きやホルモンの分泌に悪い影響を与えることが分かってきています。

キレやすい、いじめが多い、学校へ行けなくなる…など、今話題の子供たちの社会問題に、睡眠が大きくかかわっているとする研究者も増えています。子供の肥満についても、疫学的調査から、睡眠不足がそれに結びついていると考えられています。

大人なら昼間に眠気を感じるかどうかの境目が、平均的には6時間程度の睡眠時間だと考えられていますが、子供はこれではとても足りません。子供は大人以上に十分な睡眠の量を必要としています。

一方、子供たちの食事の乱れの筆頭は朝食の欠食です。朝食は“脳を動かす唯一のエネルギー源”であるブドウ糖(グルコース)を供給する大切な食事。起床直後には、肝臓に蓄えたグリコーゲン(血糖値が増えるとブドウ糖を原料としてグリコーゲンを作って肝臓に貯蔵し、血糖値が下がる貯蔵したグリコーゲンを分解してブドウ糖を作る)が相当少なくなっていると考えられ、すばやく血糖値を上げるためには食事で糖質を補給する必要があるからです。