時間生物学って何?

  • home
  • サーカディアンリズムとは何か トップ

サーカディアンリズム(circadian rhythm)

“circadian”という英語の専門用語は、1959年にHalberg によって提唱された“約1日の”という意味を持つラテン語由来の言葉。
サーカディアンリズム(circadian rhythm)」は、約24時間(*注)の周期を持つ生体リズムのこと。
外的環境因子の影響を受ける周期現象が含まれることもあるが、狭義には外部環境からの時刻の手がかりを遮蔽(しゃへい)した後にも持続する内因性リズムのことを意味する。
ヒトだけでなく、動物・植物の多くの生理的活動はこのリズムに従っている。

参考:「時間生物学ハンドブック」など

*注:1959年にサーカディアンの用語を提唱したHalbergは、サーカディアンに相当する周期の範囲を、統計学的配慮を基に24±4時間としました。これは、実際の計測値の大部分から決められたものですが、周期は生物によってあるいは環境や遺伝的条件などによって変わり、この範囲を超えることもあります。

サーカディアンリズムの特徴

サーカディアンリズムの自律性:フリーラン(自由継続、free-running)

ヒトを含む多くの生物の基本的な生理的機能は、光や温度という環境の昼夜変化がない条件下でも、ある一定の周期を持ったリズムを示します。このように、外部環境因子を取り除いた後もある周期を持ってリズムが継続することを「フリーラン(自由継続)」といいます。

そして、環境因子の影響がない状態でもフリーランがみられるリズムを「内因性リズム」といい、フリーランがみられない場合は「外因性リズム」といいます。
サーカディアンリズムは、内因性リズム(体内でつくられる生体リズム)であるという考え方が現在は主流になっています。もちろん、地球上で環境のすべての周期性を取り除くことは不可能なので、地球の自転による昼夜変化や気温・電磁場変動などの周期的な環境変化に対して作られる生物の周期的な反応(外因性リズム)である、と考える研究者もいますが、地球の自転の影響が少ない宇宙空間でもサーカディアンリズムが確認され、よりはっきりとした答えが今後導かれることでしょう。

ヒトにおいても、睡眠‐覚醒をはじめとして、深部体温、自律神経系、内分泌系など多くの生理機能や行動が、このリズムに従っています。(ヒトについては、「ヒトのリズムの特徴」のページで詳しく述べます)

サーカディアンリズムの同調性:同調(entrainment)

サーカディアンリズムの大きな特徴のひとつとして、自律的に振動する内因性のリズムであることを述べました。内因性ということは、同じ種の中でも個体差がうまれます。実際、ヒトにおいても個人差があり、フリーラン周期が24時間より長いヒトだけでなく、まれに短いヒトもいます。しかし、私たちが日常生活をしていく中では、多様なフリーラン周期を持った人々が、地球の自転による24時間の昼夜変化や社会的な約束事に合わせて生活していることに気づくでしょう。これには、サーカディアンリズムのもうひとつの大きな特徴のひとつである環境周期への「同調のしくみ」が隠されています。

同調とは、周期的な環境や他のサーカディアンリズムの特定位相と、あるサーカディアンリズムの特定位相との間に、固定した時間的関係が確立して同じ周期のリズムを刻むことです。光や環境温度などの環境サイクルと同調する場合は「外的同調」といい、体の中の他の生体リズムと同調する場合は「内的同調」といいます。
サーカディアンリズム同調させる環境因子を「同調因子(Zeitgeber、entrainer)」といいます。多くの生物で光や温度が同調因子となりますが、餌や音、社会的な約束事が同調因子として作用する種もあります。外的な同調因子の中で一番強いのは光です。ほとんどすべてのサーカディアンリズムは明暗サイクルに同調します。他の同調因子同調するサーカディアンリズムでも明暗サイクルと競合するときは、一部の例外を除き、明暗サイクルに引っ張られて同調するようになっています。

一方、同調していた生体リズムが同調しなくなることを「脱同調(desynchronization)」といいます。隔離実験において多くの被験者は24時間より少し長めの周期を持つフリーランリズムを示しますが、一部の被験者では、ホルモン分泌や体温のリズムが睡眠‐覚醒リズムと異なった周期を示すことがあり、これを「内的脱同調(internal desynchronization)」といいます。

サーカディアンリズム同調できる外的周期には範囲があります。リズムの同調範囲(range of entrainment)とよばれています。この範囲はリズムの固有周期(フリーラン周期)、同調因子の強さ、同調因子に対する感受性(種によって異なることもある)などによって影響を受けますが、24時間から大きくかけ離れることはありません。

サーカディアンリズムの普遍性と遺伝性

サーカディアンリズムは極めて多くの生物にみとめられており、さらに、そのほとんどが24時間周期の環境サイクルに同調しています。
サーカディアンリズムは、個体の経験や学習によって後天的に獲得されたものではなく、遺伝子に情報として備わっていることがわかっています。特異的に早起きのヒトが生まれた家系をたどると、先祖にもたくさんの早起き人間がいたという研究報告もあります。

  • Back
  • Next