生活習慣との関係は?

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日本人の生活とリズム

日本人の平均的な生活リズムをNHKの国民生活時間調査を参考として、その年次変化をみると以下のような特徴があげられます。

■生活の夜型化~夜10時は眠っている時間?

日本人の起床就寝時刻は、時代と共に後退しています。

就寝時刻をみると、夜10時に眠っている人の割合(睡眠率)は、戦前の1941年には71.4%(参考推定値)、1970年には国民の44.4%でしたが、徐々に減少し、2005年には23.2%となりました(図1)。つまり、夜10時はこの65年の間に、眠っている時間帯から起きている時間帯に変わったのです。
また、夜0時に起きている人の割合は1941年には0.2%(参考推定値)、1970年には7.7%でしたが、2005年には15.3%となっています(図1)。こうした変化は、都市部に限らず全国的なものであり、生活の多様化や経済の国際化などの影響というよりも電気照明やテレビの普及にむしろ強く影響を受けていると推測されます。

さらにこれを年代層別にみると、その差は大きく、半数以上が寝ている時刻は、70歳以上では午後10時ですが、30・40代では午後11時後半、20代では午前0時となっています。また、男女30~50代は平日の睡眠時間が短く、平日と土・日との差が大きいという傾向がみられます。これは、仕事時間の延長が原因のひとつと考えられ、平日の睡眠負債を休日に返す生活を強いられている人が多いことが推測されます。

有職者全体の仕事時間については、2000年、2005年ともに、8時間以上働いている割合が約半分を超えており、男性有職者においては10時間以上働いている割合が2005年は32%を占めています。特に、職業別に平日に10時間を超えて働く人の割合をみると、他の職種に比べて事務職・技術職、経営者・管理職で多くなっています。これらの職種に従事している人は、仕事でパソコン(パーソナルコンピュータ)を利用することが多いと推測できますが、長時間のパソコン使用や夜遅くまで明るい電気照明の下で仕事をすることは、サーカディアンリズムに不調をもたらし健康に悪影響を与えると考えられます。

電気照明の実用化とその普及によって、夕方から夜のまとまった時間を仕事に利用したり余暇として楽しんだりすることができるようになりました。さらに、戦後の高度経済成長に伴って社会の24時間化が進み、テレビも深夜まで放映され、夜中でも街中は街灯や店の明かりで明るく、24時間営業のコンビニエンスストアやレストランが増え、夜間でも比較的自由に行動できるようになりました。一見便利なようですが、本来のヒトのリズムとは大きくかけ離れた生活スタイルになっていると考えられます。

■睡眠時間の減少

生活の夜型化の影響を受け、睡眠時間についても変化がみられます。睡眠時間の変化を長期的にみると、1995年を境に睡眠時間の減少は止まっているようですが、1970年からみると、約30分もの短縮が見られます(図2)。これは夜型化していても朝の生活開始時刻が大して変化していないことに起因すると考えられます。ここで、1995年から2005年にかけての土曜日の睡眠時間の増加は、職場の週休2日制の拡大と学校の完全週5日制の導入とによるものと思われます。

また、1日の睡眠時間についての人口割合をみると、こちらも1995年をピークに7時間未満の割合は減少してきてはいますが、依然として短時間傾向が続いています。

■生活時間の使い方

行動を大きく3つに分類すると、必需行動(睡眠、食事など個体を維持向上させるために行う不可欠性の高い行動)、拘束行動(仕事、学業、家事など家庭や社会を維持向上させるために行う義務性・拘束性の高い行動)、自由行動(レジャー活動、マスメディア接触など人間性を維持向上させるために行う自由裁量性の高い行動)となり、これら3つの1日の時間配分をみると、年々自由行動に当てられる時間が増加しています。

しかし、テレビやラジオなどのマスメディア接触とインターネット利用(仕事・学業目的の利用除く)にあてる時間と、スポーツやレジャーにあてる時間とを比較すると、マスメディア接触+インターネット利用(仕事・学業目的の利用除く)にあてる時間の方がかなり長く、現代人の運動不足が垣間見られる結果となっています。

生活の夜型化と仕事時間の長時間化とから推測される長時間のパソコン使用は、人の体内時計に大なり小なり好ましくない影響を与える要素であり、生活の夜型化をより深刻化させる要因でもあります。生活時間の使い方においても、長時間の就労であったり、自由時間をスポーツやレジャーではなくテレビやインターネットなどと接触して過ごしていたりすることから、運動不足になっているであろうことが推測されます。

日常的な運動不足は睡眠の質にマイナス方向の影響を与え、さらに睡眠不足は日中の作業効率の低下にもつながります。また、就労時間の長時間化は生活の夜型化をさらに引き起こし、睡眠時間の短縮にもつながる悪循環を生み出す一因といえます。

1日の生活の3種類の行動はお互いにバランスをとりながら健康を保っていくものですが、現状は相互にマイナス方向の影響を与え、悪循環に陥っていると考えられます。さらに、社会的な環境も24時間化の傾向をもって変化しており、悪循環のサイクルを後押しする状態となっています。このような状況下で、わたしたちは望むと望まざるとに関わらずこのような悪循環の生活を余儀なくされているとも考えられ、生活の夜型化や睡眠不足からの脱却はなかなか難しいと推測されます。

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