生活習慣との関係は?

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光とリズム

生物リズムの物理的な同調因子として明暗サイクルが最も強力であることがわかっています。また、時刻の手がかりのない一定環境の下でフリーラン(自由継続)する生物リズムの周期は、周囲の明るさによって影響を受けます。

目から入った光は、物体の色や形を判別するという視覚の役割(後頭葉視覚野)とは別の生理的作用(非視覚的生理作用)を脳にもたらすと考えられ、視床下部を経由して、最終的には松果体に達する信号伝達経路を通ると考えられています。

視床下部の視交叉上核に伝えられた光の信号は、生物時計の時刻を調整することができ、一般に早朝の光で時計を前進させ、深夜の光で時計を後退させると考えられています。時計の時刻調節の他、松果体にいたる経路では、脳の覚醒水準を上げたり交感神経の活動度を高めたり、夜間ではメラトニン分泌を抑制したりという直接的な生理作用があり、これらの光の作用はすべて覚醒の方向であることがわかっています。

したがって、起床前後のタイミングで光を目に入れることは、視交叉上核生物時計を朝の状態にリセットする役目を持っています。フリーラン周期が24時間より少し長い場合には、毎朝生物時計を少し前進させてリセットすることになりますが、この時計をリセットする働きにも有効な時間帯というものがあります。

サーカディアンリズムフリーランしているときは1日の体温の最低点が出現した後から5~6時間後くらいまでであり、睡眠-覚醒のリズムと体温のリズムが同調している場合では、覚醒する前後の4~5時間の間が有効であるという研究報告があります。

睡眠-覚醒のリズムが不規則な生活をしている人は、この生物時計のリセットにとって都合のよい時間帯に光を目に入れることができないこともあり、さらに睡眠-覚醒のリズムを乱すという悪循環に陥ってしまいます。

日中の光については、まだ十分な研究がなされていませんが、昼間の光環境が人の生体リズムに大きな影響を与える可能性のあることはこれまでに報告されています。たとえば、昼間明るいところで過ごすと夜間のメラトニン分泌が増えたり、夜の睡眠がより深くなったりします。また、「昼の生活環境」のページで詳しく述べますが、室内は明るいといっても曇りの日の屋外に比べれば暗い(図1)ので、昼間の明るさ不足で明暗のサイクルがはっきりしなくなると、昼間の覚醒度や夜間の睡眠への悪影響が出ると考えられます。

さらに、夕方から夜にかけての就寝までの時間帯に目に入る光は、覚醒方向に作用するだけでなく、生物時計の時刻を後らせることがわかっているので、夜間には明るすぎる光を避ける必要があります。
光環境は睡眠とも関わりが深く、直接的には脳に対する覚醒作用の影響や日長時間の季節変動の影響を睡眠に与え、間接的には睡眠の背景にあるサーカディアンリズムや体温・メラトニン・自律神経への作用を介して光の影響が及ぼされます。夕方以降に明るすぎる光環境で長時間過ごすと、入眠がスムーズでなかったり、深い睡眠状態が減少したりするという研究結果があります。

なお、これらの非視覚的な生理作用は、光の中では青色波長成分で特に強いと考えられています。

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