問題解決 解析結果

【原因】

誤った入浴の仕方をしていませんか。


スムーズな眠りをむかえるための就寝前の行動として入浴をすることは効果的ですが、入浴の仕方、時間やタイミングによっては逆効果になってしまうこともあります。

就寝のすぐ前に40~42℃以上の熱いお湯に10分以上つかることは逆効果になる入り方の一つです。
体が眠りを迎える状態にあるとき、脳や体中心部の温度は下がろうとし、副交感神経系が優位な状態に移行し、脳と体は休息と回復に備えます。
湯船につかると、温かいお湯で皮膚の毛細血管が拡げられ血流が増えます。さらに温められた血液が心臓をとおり全身をめぐり、体の芯から温まることができるのです。湯船から出た後すっと温度が下がることでスムーズな入眠に導きます。しかし、熱いお湯に長くつかって、脳や体中心部の温度を上げすぎてしまうと、体温が下がるまでに時間を要してしまうだけでなく、交感神経系を刺激してしまうことになります。

かといって、熱いお湯への入浴はたとえ短時間でもスムーズな入眠には不適切です。
表面だけ熱くなっていても体の内部は冷えたままということもあります。その場合も体温が下がりにくかったり、入浴後しばらくすると手足が冷えてしまったりしてスムーズな入眠の妨げになる場合があります。

【対策】

時間、タイミングを考えて効果的な入浴をしましょう。


理想的な入り方
ぬる目(38~39℃)のお湯にゆっくり(10~20分)つかることが一番理想的です。
ぬる目のお湯でゆっくりじわじわと体の芯から温めていきましょう。入浴中もバスタイムを楽しむ工夫や、お湯につかりながらマッサージや軽いストレッチをして決行を促進させましょう。

タイミングも大切
入浴の時間は就寝の1時間くらい前にとるとよりスムーズな入眠をむかえられます。どうしても熱いお湯がいいという人は就寝の直前から1~2時間前は避けましょう。

また、体全体を芯からあたためることは、脳や体中心部の上がった温度を下げようと、手足などの皮膚表面から熱が放出されるので、冷えの解消にもつながります。

入浴と睡眠
なぜ、入浴が睡眠に効果的なのでしょうか。
それは人の体温に関係しています。人の体温は、昼は高く、夜は低くなります。夜は起きていても低くなりますが、眠るとさらに低くなり、逆に昼はじっとしていても高くなりますが、運動すればさらに上がります。体温が上がれば脳の温度も高くなり、体温が40度を超えると意識が朦朧としてきて、生命に危険をきたします。眠りの役割の一つは体温を下げ脳の過熱を防ぐことにあり、睡眠は脳の冷却装置を作動させる働きがあります。運動で疲れると眠くなるのは運動により上昇した体温に対して、脳のオーバーヒートを防ぐためなのです。つまり、ぬるめの湯に入浴することによって体温が適度に上がれば脳の温度が高くなり、冷却装置が指導して睡眠、特に深い睡眠が誘発されます。ここで、ポイントなのはぬるめのお湯につかることです。あまり熱い湯に入ると身体に負担が大きいだけでなく、体温が上がりすぎてかえって目が覚めてしまいます。

熱い湯(42℃以上)では交感神経系を刺激して血圧が上昇し、心拍数が増加したり、体温が上がって脳の体温をも上げてしまったりします。
まず、交感神経が刺激されると交感神経が副交感神経より優位になり、緊張した状態を指し、睡眠の質が落ちてしまいます。そして、人の体温は、昼は高く、夜は低くなっているので、あまり熱い湯に入りすぎて体温が上がると、脳も活性化してしまって、目が覚めてしまうのです。
また、インスリン作用がブロックされ高血糖になりやすくなることや、血液の凝固性が高まり、さらに発汗などで血液が濃縮され、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まることもあります。
身体にたくさんの負担をかけることになるので、できればぬるめのお湯につかることがよいですが、どうしても熱い湯がいいという人は就寝の1~2時間前は避けましょう。逆に朝に目覚めのシャワーを浴びるときは体温を上げて目を覚ますためにも熱めのお湯を浴びるとよいでしょう。しかし、そのときも突然心臓付近にお湯をかけずに手足から徐々に、を忘れずに。
運動で疲れると眠くなるのは運動により上昇した体温に対して、脳のオーバーヒートを防ぐためなのです。