問題解決 解析結果

【原因】

日中、十分な運動が足りていますか。


日中の活動がそれほど多くない場合や睡眠時間が平均的な量より長い場合でも睡眠の質が低下することはあります。
人が眠りにつくには、「まとまった時間起きていたこと」、「脳が夜の状態になること」の二つが必要です。起きている間に脳内でつくられる睡眠物資が限界量に達すると「眠るスイッチ」が入ります。そして、この限界量は「体内時計」の働きで夜に下降して、スムーズな寝つきにつながります。
ですから、日中の活動量が少なくて睡眠物質が限界量まで達していなかったり、睡眠時間をとりすぎて、「体内時計」の時刻が後れてしまったりしていると、特に最初の深い眠りに達する力が弱まるため、思ったように疲労回復されず、睡眠の質の低下につながります。起床時に肩こりを感じたり、疲れが取れきれていない気がしたりすることがそのサインと考えられます。

また、普段より日中の活動量が多かった場合、日頃の睡眠時間では疲労を回復しきれないことも考えられます。その場合は、睡眠時間を少し長めにとって解決するようであれば問題ありません。

しかし、それが続くような場合は、睡眠の質が低下していることも考えられます。私たちが眠っている間には、休息のためのノンレム睡眠と日中にさまざまな刺激をうけてたまった記憶の整理のためのレム睡眠とが繰り返されます。まず寝付くと、普通はノンレム睡眠から始まって徐々に深くなり、一時間前後で最も深い眠りの段階に達します。このときは少々の物音では目が覚めません。それがしばらく続いて眠りが急に浅くなった後、レム睡眠が始まります。このときはからだが眠っていても脳波内部だけで活動している状態と考えられ、鮮明な夢をよく見るのもこの時期です。ノンレム睡眠とレム睡眠はセットになっていて周期は平均すると約90分です。一晩にこのサイクルを3~5回繰り返します。そしてノンレム睡眠のなかでも特に深い眠りは睡眠前半に多く、このころに疲労回復に役立つ成長ホルモンが集中的に分泌されています。しかし、日々の疲労がたまってきていると、深い睡眠が睡眠の前半だけでなく、睡眠の後半にも多く出て朝なかなか目覚められないことにつながると考えられます。

【対策】

良く眠るための準備をしましょう。


寝付きがよく、深い睡眠へスムーズに移行できるように、睡眠前に手足を温めて手足からの放熱を促し、脳や体内部の温度を下げるのを助けましょう。睡眠と覚醒のリズムは体温のリズムの動きと似ていて、脳や体中心部の体温がぐっと低下するときに、睡眠に入りやすくなることがわかっています。

温かい飲み物などは、心身をゆったりした状態にするのを助けるだけでなく、カップを持つ手も温められます。しかし、覚醒作用のあるカフェインは就床2~3時間前からは避けるようにしてください。
また、手足が冷え気味の人は、手足の毛細血管までスムーズに血液が流れていない可能性があります。マッサージ器具などを利用して手足を刺激したり、ストレッチで全身の血液やリンパの流れをよくすることも一つの手段です。休息や回復のときに優位になる副交感神経が薬指を通っているとされ、特に、薬指を揉み解して刺激するのもよいでしょう。

そして、朝、きちんと同じ時刻に起きて一日のスタートを元気よくきりましょう。最初は起きにくいかもしれません。しかし、続けて同じ時刻に起きていくうちに「体内時計」が朝の目覚めに適した時刻にリセットされ、睡眠と覚醒のリズムも元気になってきます。
自分の睡眠習慣がどのようになっているかを客観的に把握するには、睡眠日誌をつけてみることが勧められます。睡眠日誌というと少々堅苦しい感じがしますが、起床時刻と就寝時刻を記録していくだけでも充分です。余裕があれば、「昼間眠かった」とか、「快適に過ごせた」など、一日の感想を書いてください。だいたい1ヶ月程度記録してみると、自分の睡眠パターンが把握できます。そして、前の日の睡眠時間とその日の体調などを見比べてみてください。あなたに必要な睡眠時間がなんとなくわかってくるはずです。
最近では、睡眠日誌のテンプレートも市販されていますし、また、せっかく眠たくなってきたときに就寝時刻をチェックして邪魔されたくない方には、自動的に活動と休息のパターンを記録してくれる装置も実用化されています。これらを利用して、自分の睡眠パターンを理解しながら生活リズムを整えていくこともひとつです。

しかし、朝、気合いだけで起きることはなかなかつらいものです。
そこで、朝にスムーズに起きられるようにするために、部屋の環境の助けを借りるのが合理的です。「光」には脳を目覚めさせる作用があるので、寝室に朝日が入るようにしておきます。少しずつ明るくなる光で「深い眠り」から「浅い眠り」へ無理なく導かれ、スムーズに目覚められるからです。さらに、起きてからも明るい「光」を目に入れることで、「体内時計」をリセットさせ、脳を覚醒させましょう。「光」の次に脳を覚醒させる作用があることは「ああ、朝だ」とその人が思える社会的な約束事です。
質の良い睡眠がとれるように、日頃工夫していると思われるのになお、起床後の疲労感がとれない、という場合は、日頃の活動量が多すぎないかどうか、一度振り返ってみることも必要でしょう。睡眠の質に見合った活動量になるように、仕事量や運動量を少し減らして様子をみるのがよいと考えられます。