問題解決 解析結果

【原因】

起きた後、寝返りが多いと感じていませんか。


人は寝ている間に一晩でコップ1杯程度の汗をかくとされていますが、夏場は少し発汗が多くなり、蒸れて暑く感じることがあります。特に汗でむれやすいのは敷布団と背中の間です。湿度が80~90%に達することもあり、蒸れを防ごうとして必要以上に寝返りが増え、眠りが安定しないことがあります。

寝室においては、湿度が低すぎる(相対湿度14~40%)と、高いとき(相対湿度50~90%)に比べて風邪やインフルエンザのウイルスの活性化率が高くなります。インフルエンザウイルスの感染力についての研究では、インフルエンザウイルスは低湿度環境ではより長期間感染力を維持することができるという結果が出ています。また、低湿度によって、口の中の粘膜が乾燥していると、防御機能もうまく機能しなくなります。風邪のウイルスは、ヒトに吸い込まれると、呼吸器を通過し、一部は粘膜に付着したり、さらに下気道まで達したりします。しかし、気道に付着したウイルスは、呼吸器粘膜上皮細胞の繊毛によって、上気道へと運び上げられ、結局は体外に排出されます。この防御機能が口腔内の粘膜の乾燥により、気道の繊毛運動が不活発となり、機能しなくなって風邪が悪化するのです。

【対策】

寝室の湿度調整を心がけましょう。


寝床の中の適正湿度は50%±5%とされています。敷布団あるいは敷用の補助寝具を工夫して背中との間の温度を適正にすれば、不必要な寝返りが減るでしょう。例えば、熱伝導性や吸湿・放湿性に優れた麻を、敷きパッドの素材に使うなどすれば、さわやかな感触が得られるでしょう。特に発汗の多い夏場、昼間に干すなど寝具のメンテナンスをしておくことも大切です。直射日光を避けたほうがよい素材では、風通しの良いところで陰干しすると良いでしょう。枕についても、季節による使い分けを工夫してみるのもよいでしょう。
また、飲酒も控えめに。お酒を飲むと皮膚温度が上がるうえ、発汗が増えて蒸れやすくなるからです。

寝室は、乾燥気味の時には、室内を加湿することはもちろんですが、室温を下げすぎないことにも気をつけましょう。口腔粘膜は、吸入する空気の温度が11.5℃以下になると、相対温度が100%であっても乾燥が生じるとされています。できれば、寝床内を適温にするために必要とされる冬季の室温を16~17℃に保ち、口腔粘膜の乾燥の予防と、良質な睡眠を手に入れましょう。