問題解決 解析結果
寝るときに、無理に部屋を明るくしていませんか。
人は日常、感覚の約80%を視覚にたよっているので、寝室が真っ暗だと、視覚的な刺激がなく、自分のおかれている環境が把握できません。そのため、想像ばかりがはたらいて心理的に不安感を覚えることがあり、わずかに光のあるほうが安心して眠れる、という人もいます。これには生活環境に対する慣れの問題もあり、生理的というよりむしろ、心理的な影響が大きく関わってきます。
しかし、生理的な側面からみると、部屋で明るいほど、あるいは直接光源が目に入る環境下では、覚醒の方向への刺激を光が脳に与えてしまいます。その結果、眠りに入りにくくなるや、眠れても安定した深い睡眠が得られないことがこれまでの研究でわかっています。これには脳への直接的な覚醒作用の他に、メラトニンというホルモンも関係しています。メラトニンは松果体から夜間に産生分泌されますが、夜間に目から入った光の刺激は体内時計の部位を通して松果体に伝えられ、メラトニンの分泌を抑制します。この作用により体内時計の時刻が後退したり、昼夜のメリハリがなくなったりすることがあり、睡眠への悪影響となります。
寝室環境を見直してみましょう。
寝室が真っ暗になるのはいやだ、不安だ、という人は、光源が直接眼に入らない場所に小さな照明を設置しましょう。
不安を感じるだけではなく、中途覚醒をした際などに、覚醒度を上げずに安全に行動するために、夜間がある程度みえるくらいの明るさにしておくことは有効ではあります。その際に、足下灯や常夜灯などの小さな照明器具を床面に近い場所に設置するのがよいでしょう。最近は、人が近づくのを検知して自動的に点灯する器具もあります。また、リモコンで調光できる室内照明を利用して、布団の中から調光あるいは消灯点灯するというものひとつの手段です。
夜間に用いる照明の光源としては、白熱灯や電球色蛍光灯などの赤っぽい光が適しています。青っぽい光は生理的に覚醒作用が強いだけでなく、青白い光がぼうっと室内を照らすと、心理的に不気味で不安感が増えると考えられます。