問題解決 解析結果

【原因】

眠るまでに時間がかかりすぎていませんか。


夜間就寝前に必要な明るさ以上の光のもとで過ごすことは、覚醒方向への刺激を脳に与えてしまい、眠れなくなることや、眠った後も安定した深い睡眠が得られないことがこれまでの研究からわかっています。最近の研究では、数十ルクス程度の比較的くらい状態でも光の覚醒方向の作用が生じることがわかってきており、特に青っぽい光では、数ルクス程度の小さいエネルギーの光でも影響が出るという報告がなされています。
光には脳に対する直接的な覚醒作用のほかに、夜になると分泌されるはずのメラトニンというホルモンの分泌が抑制され、メラトニンのリズムと同調している睡眠-覚醒のリズムも引っ張られて、睡眠の質が悪くなると考えられます。

また、眠っているときに、目を閉じていても、瞼を通して入る光に脳が反応します。そのため、寝室の照明が50lx(本がなんとか読める程度)をこえたくらいから明るい状態では、睡眠中に光から顔を避けようと布団をかぶったり、腕で顔を覆うようにする防衛的な遮光動作が観察され、睡眠の質が低下するという研究報告があります。

【対策】

場面に合った明るさに調節しましょう。


生理的に安定した睡眠を得られる明るさは、0.3lx以上30~50lx以下が定説のようになっていますが、低照度でも生理学的悪影響が出ることがわかってきました。できるだけ暗いほうがよいと考えられていますが、真っ暗な状態が精神的に安定するとは限らず、その人の慣れやそれまでの習慣の影響で、暗い状態で寝ることが不安な人もいます。
できれば、正時計で測りにくい程度のほとんど真っ暗な薄明状態で眠ることが勧められるのですが、真っ暗になるのはいやだ、不安だ、という人は、光源が直接眼に入らない場所に小さな照明を設置しましょう。
ほかにもリモコンによって調光できる室内照明で布団の中から調光または消灯する、タイマーで徐々に暗くなる照明を利用する、という方法でも光による覚醒刺激を和らげることができます。

また、夜中に中途覚醒して、真っ暗な中を歩き、何かを踏んでしまったり、転倒したり、となっては大変です。中途覚醒をすることが多い人は、フットライトを利用して、足下をぼんやり明るくすることで危険を防止するとともに、人が近づくのを検知して自動的に点灯する機能を利用して、必要以上に覚醒させないようにしましょう。
なお、夜の寝室照明に使う光源としては、白熱灯や電球色の蛍光灯などの赤っぽい光が勧められます。