問題解決 解析結果

【原因】

寝付きにくいと感じていませんか。


睡眠と覚醒のリズムは、体温のリズムの影響を強く受けています。体温が下がる途中で眠り始め、体温が上がる途中で覚醒します。
睡眠中は覚醒時に比べて体温調節機能が低下しており、寝室や寝床内の温熱条件の影響を受けやすくなっています。

体中心部の体温のリズムは睡眠期の後半に最低値になり、夕方から宵の口にかけて最高値を示します。就寝時刻が近づくにつれて、体温が下がることで覚醒から睡眠への移行がスムーズに促進され、体温が上がることで睡眠から覚醒への移行を助けます。

? 暑すぎる寝床だと…
皮膚表面の体温より寝床内の温度の方が高くなると、手足からの放熱を妨げ、体中心部の温度が下がりにくくなります。それだけでなく、蒸し暑さによる寝返りで、夜中に目覚める回数が増え、安定した深い睡眠が得られません。
? 冷たすぎる寝床だと…
筋肉の緊張や体の震えで体温を作り出そうとしますし、血管が収縮して放熱どころではなくなります。したがって、「眠りのスイッチ」がうまく入らず、寝入っても深い睡眠が得られません。

夏場は、寝る前に寝室を冷やしておくことは、暑すぎる夜などにはスムーズな眠りにつくためにとても効果的な方法です。しかし、寝室全体を長時間冷やしすぎてしまうと、手足など抹消も冷え切ってしまい、体内の熱を発散できなくなったり、夏場でも冷え性になったりすることがあります。
逆に冬場は、就床時には、手足が冷えてからだの中の温度を逃がすことが出来ず、寝付きにくくなり、起床時には、気温も明け方に最低となるので、寝室の気温が低すぎると体温も上がりにくくなり、起きるのが辛くなります。

【対策】

寝床の温度を調節しましょう。


寝床の中の温度として敷き布団と背中が接する部位で33±1℃が適正と考えられています。これは全身の平均皮膚表面温度約35℃よりも少し低い温度です。皮膚表面から少しずつ放熱でき、寒さも感じずにすみます。季節に関わらず、体中心部の体温に近い額部分を冷やして足先を温める(いわゆる頭寒足熱の状態とされる)ようにすると、手足の放熱で温まるのと体中心部の体温が下がるのと双方の変位がスムーズになって早く安定した眠りに入れると考えられています。

・暑すぎる寝床には…
夏場に手足がほてって眠れないというときは、手足からの放熱を促進させるために、軽くほてりをとってあげましょう。ただし、睡眠中にずっと冷やしたままでは、額部との温度差ができてしまうのでよくありません。どちらかといえば、頭部を冷やしてください。
このときの冷やし方ですが、気流をつくって熱を奪うことが一番効果的です。放熱には発汗や呼吸から水分が蒸発する湿性放熱と対流によって表面から熱が奪われていく乾性放熱があり、後者の乾性放熱を促進します。乾性放熱を促進させると、湿性放熱が減り、さわやかに眠ることが出来ます。しかし、これをエアコンによる室温全体のコントロールでおこなうと、わずかの温度差で体に体温調節機能の不調などをきたすため、好ましいとはいえません。省エネルギーという点や節約という点からもいいとはいえませんよね。出来れば、自然の風を利用するか、扇風機の風を壁に当てて、その返ってきた風が少しあたるようにしましょう。
また、輻射熱をさげて寝室自体も冷やしましょう。方法としては、扇風機を壁に向けてあて、日中に上がった壁の温度を下げます。室内の温度を下げることで、寝床内の熱が室内に逃げてくれます。

・ 寒すぎる寝床には…
あらかじめ寝床の中を温めておくことにより、寝床に入ったときの冷たい感じを緩和して抹消部の皮膚の温度上昇を促し、スムーズな入眠が得られます。寝床の中を温めておく方法として、就寝前に布団乾燥機で寝床を温めておくことや電気毛布や電気あんかをつけておき、寝床に入るときに通電を切るという方法があります。このとき、気をつけたいのが電気毛布や電気あんか。一晩加温を続けると36℃にも達することもあり、暑すぎです。湯たんぽ(時間と共に温度が下がる)で足下だけ温めるのがおすすめ。背中の体温が逃げないように、羊やらくだの毛など保湿性の高い素材を使った敷き布団も効果的です。